INUI MUSIC SALON構想紹介
INUI MUSIC SALONは、ピアニストの乾将万(いぬい・まさかず)が代表を務め、公演の企画・主催、国内外の演奏家の招へい、音楽教育等に取り組む音楽団体です。大阪府茨木市を中心に、高槻市、枚方市、箕面市、兵庫県西宮市などを主な活動拠点として、年間50公演を超えるコンサートを開催しています。公式活動紹介
代表の乾は、1991年大阪府茨木市生まれ。大阪音楽大学器楽学科ピアノ専攻を首席で卒業し、同大学大学院を修了しました。その後、ハンガリー政府給付奨学金「Stipendium Hungaricum」を受給し、ハンガリー国立リスト音楽院に留学。2018年の帰国後は、演奏活動と公演制作を並行して展開しています。現在、大阪音楽大学演奏員、大阪こども専門学校非常勤講師を務めるほか、大阪府や自治体の文化事業にも専門人材・学識者として関わっています。代表者プロフィール
本団体の活動は、乾自身が演奏家として舞台に立ち、作品と聴衆に向き合う実践から出発しています。演奏家と主催者の双方の立場を担うことで、芸術的な構想、公演を成立させる制作・運営、聴衆との関係形成を一体的に捉え、継続的な活動へと結びつけてきました。
活動の基盤となるのは、無料または低料金で参加できる公演の積み重ねです。経済的・心理的な負担を抑え、生活圏の中で繰り返し音楽に触れられる機会を設けることにより、地域に音楽を聴く習慣と、演奏家への親しみを育んでいます。その継続的な関係を土台として、大規模公演や国際招へい、専門性の高い企画を展開し、新たな聴衆や協力者にも活動を知っていただく機会をつくっています。
この活動設計では、公演ごとに異なる役割を持たせています。日常的な公演は文化への接点を広げ、芸術的な探究を重視する公演は新たな表現や作品との出会いを生み出します。両者を時間をかけてつなぐことにより、広く社会に開かれた公共性と、専門性や創造性に支えられる芸術性を、活動全体として両立させることを目指しています。
こうした考え方のもと、2021年には、音楽とバレエの協働によって音楽の可視化を試みる「バレエで音楽を描く―継往開来」を開催しました。2022年以降は、4台のピアノと複数の演奏家による「PIANO FESTIVAL」を展開。2023年には、兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールでジョージ・ハリオノのリサイタルを開催しました。異分野との協働、特殊な演奏編成、大規模会場での公演など、多様な企画を実現してきました。
国内外の演奏家を迎える事業も、活動の重要な柱です。クリストフ・ジョヴァニネッティと青柳いづみこの共演、T.ヴラディスラフのリサイタルなどを開催し、地域の聴衆と多様な芸術家を結びつけてきました。2026年12月には、イリヤ・イアシンの初来日公演を予定しています。ジョヴァニネッティ・青柳公演記録、ヴラディスラフ公演記録、イアシン公演案内
2026年には、ベネズエラからオーボエ奏者ヴィセンテ・モロンタを招き、リサイタルとオーケストラ公演を実施しました。現代音楽を主軸とするオーケストラ公演においても満席を実現したことは、専門性の高い企画を聴衆へ届けるという点で、重要な実績となりました。また、同年の「おにクルde音楽祭2」では、ザクセン声楽アンサンブル等を迎え、大ホールが満席となる成果を得ています。音楽祭開催報告
これらの活動を貫く理念が、「文化的コモンズ」の形成です。私たちは、音楽を社会の共有財産として捉えています。芸術作品に触れ、その価値を理解し、表現や活動に関わる機会を広く社会に開いていくことを、本構想における「文化の公共化」と位置づけています。乾自身が演奏と事業運営の現場に立ち、芸術作品と地域社会をどのようにつなぎ得るかを、実践を通じて示していきます。
その具体的な取り組みの一つが、2026年に開始した「アーティストプログラム」です。対象として想定するのは、音楽家としての活動を本格化させたい人、国際コンクールを目指す人、高い意欲を持つ学生など、次代の音楽活動を担う可能性のある人々です。演奏上の専門性とともに、社会や地域との関係を広い視野で捉え、自ら活動を展開していく力を支えることを目指しています。
本プログラムでは、INUI MUSIC SALONが蓄積してきた公演企画、制作・運営、広報、聴衆との関係形成、国内外の演奏家との協働に関する経験を、参加者と共有します。各人の目標や課題に応じて、当団体が提供できる支援を最大限に行いながら、その経験をそれぞれの活動にどう応用できるかを、ともに検討し、実践します。個人の経験にとどまっていた知識や方法を、他の芸術家も活用できる形へと整理し、次世代へ継承していく取り組みです。
今後数年間は、第3回の音楽祭開催に向けた継続的な活動を進めるとともに、全国47都道府県の各地域に、緩やかな交流と協働の関係を築くことを目指します。各地の演奏家や活動主体と知り合い、地域ごとの状況や関心を理解しながら、公演や交流をともにつくる可能性を探っていきます。
さらに、協働の可能性が育った地域と、アーティストプログラムの参加者を、双方の希望や活動の方向性に応じて結びつけていきます。地域との出会いが芸術家の新たな活動機会となり、その活動が地域の文化的な蓄積につながる。そして、そこで得られた経験が再びプログラムや音楽祭に還元される。このような循環を、各地との関係を尊重しながら育てていく構想です。
本構想は、約10年の視野に立ち、日常的な公演、芸術的な探究、国際交流、人材育成、地域間の協働を結びつけるものです。演奏家自身による実践から生まれた経験を、次代の芸術家と地域社会が共有できる資産へと発展させ、音楽が社会の中で継続して享受され、創造される基盤を形成していきます。文化財団との連携・協働を通じて、この長期的な取り組みを着実に進めたいと考えています。



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