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連載④音楽的緊張と弛緩

和声進行と音楽的緊張・解決の理解


1. 和声進行の基本

和声進行は、和音が次々と変わるパターンを指します。この進行の中には、特定の和音の組み合わせや順番があり、これによって音楽に緊張感や安定感を生み出すことができます。


2. カデンツとその役割

カデンツは、音楽のフレーズの終わりにあたる和声進行のことを指し、通常は緊張から解決へと移行する形になります。カデンツにはいくつかの種類がありますが、最も基本的なものは、ドミナント和音からトニカ和音への移行です。


3. ドミナント属七和音の緊張

ドミナント属七和音は非常に緊張度が高い和音であり、この和音は次の和音への移行を強く求める性質があります。特に、属七の音はトニカ和音への解決を強く感じさせます。


4. トニカ和音と安定感

トニカ和音は、音楽の「家」とも言える和音であり、最も安定した感じを持っています。緊張度の高いドミナント和音やドミナント属七和音からの移行時、トニカ和音はその緊張を解消し、リスナーに安心感を提供します。


5. 直感的な理解のための方法

物語性の利用: 和声進行を物語やドラマのように説明することで、初心者にもわかりやすくなります。例えば、ドミナント属七和音を「山の頂上」、トニカ和音を「安全な家」などと例えることができます。

実際の演奏: 初心者に実際にドミナント属七和音からトニカ和音への移行を弾かせることで、その緊張感や解決感を体感させることができます。


カデンツの種類と特性

1. 完全終止 (Authentic Cadence)

和声進行: ドミナント和音(V)からトニカ和音(I)へ

特性: 最も基本的で、強い解決感を持つ終止。フレーズや楽章の終わりに頻繁に用いられる。

初心者向けの説明: これは「帰宅」の感じ。外出から家に戻るような、完全な安心感がある。


2. 半終止 (Half Cadence)

和声進行: 任意の和音からドミナント和音(V)へ

特性: 終止の感じはあるものの、完全ではない。より多くの情報や続きを期待させる効果がある。

初心者向けの説明: 「中休み」のようなもの。休憩はとるけれど、まだ旅は終わっていない感じ。


3. 偽終止 (Deceptive Cadence)

和声進行: ドミナント和音(V)からトニカ以外の和音へ(よく使用されるのはVI和音)

特性: 予想外の和音への移行により、聴き手を驚かせる。解決を期待させてからそれを遮る効果。

初心者向けの説明: 予想外のサプライズ。家に帰る途中で、友達の家に立ち寄るような感じ。


4. 変格終止 (Plagal Cadence)

和声進行: サブドミナント和音(IV)からトニカ和音(I)へ

特性: 教会音楽や賛美歌でよく使われる。神聖な、あるいは「アーメン」のような感じがする。

初心者向けの説明: 落ち着いて、やや優雅な「帰宅」。静かな裏道を通って家に戻るような感じ。

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