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連載②「姿勢」

正しい姿勢の重要性

1. 姿勢と演奏の関連性

ピアノを演奏する際、多くの人々は手や指の動きに焦点を当てることが多い。しかし、実際には全身が演奏に関与しており、特に体の姿勢は演奏の質や持続性、さらには健康面にも深く影響します。まずは腰掛ける位

置(深さ)、椅子の高さにも注意を向けてみましょう。


2. 正しい姿勢の基本

正しいピアノの姿勢とは、背筋を伸ばし、肩をリラックスさせ、腕と手首を自然なラインに保つことを基本とします。足は地面にしっかりとつけ、ペダル操作時にはかかとを軸に動かすことが理想的です。とはいえ、体のバランスは十人十色。大ピアニストを見ても、色々な姿勢で弾いています。極端に低い例はグレン・グールド、極端に高い例はスヴャトスラフ・リヒテル、見るからにジャストフィットで弾いているのはマルタ・アルゲリッチやウラディーミル・アシュケナージ。姿勢と演奏の特性は密接な関係があります。コントロール・運動性・音色どのパラメーターにも影響を及ぼし得ます。


3. 姿勢の影響

正しい姿勢を取ることで、手や腕に無駄な力がかからず、よりスムーズに鍵盤を操作することが可能になります。逆に、姿勢が悪いと筋肉に過度な負担がかかり、疲れやすくなるだけでなく、繊細なタッチや速いフレーズの演奏が難しくなってしまいます。重い音は椅子が低い方が出やすいでしょうし、高い椅子の方がコントロールが難しくとも機動力は出るでしょう。基本の形は身につけるとして、表現のレベルになると微調整が必要かもしれません。


4. 長時間の練習と健康問題

長時間の練習は、特に不適切な姿勢で行われると、肩こりや腰痛、手首や腕の痛みを引き起こすリスクが高まります。これらの問題は、演奏の障害となるだけでなく、長期的な健康問題にも繋がる可能性があります。

私も留学時代、ずーっと練習していたので、師匠から「6時間以上はしないこと」と指示がありました。6時間が長いかどうかは個人差のあるところですね。ちなみに、過去最高記録は一日19時間です。ピアノ協奏曲の準備が間に合わなくて必死で準備していた学生時代...


5. パフォーマンスの向上

正しい姿勢を維持することは、技術的なスキルや音楽的な表現力を高める上でも非常に重要です。自然な姿勢からの動きはスムーズで、力強く、そして繊細です。これにより、リズム感やタッチ、音のニュアンスなど、演奏全体の質が向上します。


6. 姿勢の維持のコツ

正しい姿勢を維持するためには、継続的な意識とトレーニングが必要です。定期的に鏡を使って自分の姿勢をチェックする、ピアノの先生や経験者からのフィードバックを受け取る、適切な高さと形状のピアノの椅子を選ぶなど、さまざまな方法が考えられます。

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